内科|三田駅から徒歩6分の内科・循環器科-いなずみ内科・循環器科

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内科

Internal Medicine

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内科

急性疾患

風邪

風邪とは、一般的に鼻、のど、喉頭などの上気道炎のことで、原因のほとんどがウイルス感染によるものです。
症状は、咳、鼻水、鼻づまり、のどの痛みや発熱です。肩こり、倦怠感、関節痛などを伴うこともあります。多くは無治療で自然寛解しますが、医療機関を受診されたとき、症状を和らげる対症療法を行います。鼻水等を緩和する薬、咳止め、のどの炎症を抑える薬、痰をきりやすくする薬、解熱鎮痛剤などです。ウイルス感染が原因のため、抗生剤は効果がありません。大事なのは、ゆっくり静養することです。ただ、咳、痰がひどくなってくる場合、発熱が続く場合は気管支炎や肺炎に進行する場合もありますので、もう一度診察を受けていただき、医師に判断してもらうことが大切です。肺のレントゲン検査が必要な場合や、細菌の二次感染に対する抗生剤処方が必要になることもあります。
のどの痛みと発熱の場合、溶連菌感染症があり、抗生剤の内服が必要なことがあります。のどの発赤が強い場合、のどを綿棒でこする検査で診断できます。
咳だけが長引く場合にも、肺のレントゲン検査が必要になることがあります。肺炎が否定されれば、気管支炎に対する気管支拡張薬などが咳には有効です。

インフルエンザ

インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。
インフルエンザに感染すると、1~5日の潜伏期間の後、38℃以上の高熱や頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感などの全身症状が現れます。また、咳、のどの痛み、鼻水などの風邪と同じ症状もでてきます。風邪よりも急激に発症し、症状が重いことが特徴です。
健康な人であれば、その症状が3~7日間続いた後、治癒に向かいます。
気管支炎や肺炎などの合併症を発症しやすく、乳幼児では脳炎、高齢者では肺炎に注意が必要です。インフルエンザウイルスには強力な感染力があり、いったん流行すると、年齢や性別を問わず、多くの人に短期間で感染が広がります。
二次感染、合併症の予防のために、できるだけ早く受診することが大切です。
診断は、綿棒で鼻腔をこするインフルエンザ迅速検査で診断できます。新型コロナウイルス感染症が終息するまでは、徹底した感染対策の上での検査となります。発熱から数時間しかたっていない時はウイルス量が少ないために陰性とでることがあり、場合によっては、翌日の検査が必要となります。インフルエンザには治療薬があり、発熱などの症状が早く軽快する効果があります。

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などが胃腸内に感染する事で起こる疾患です。多くは食品や汚染された水から感染しますが、人やペットとの接触により感染することもあります。
原因としてはウイルスが多く、とくにノロウイルスがもっとも多いようです。乳幼児ではロタウイルス感染症も多く、ワクチンがあります。ノロウイルス感染症は、牡蠣(かき)などの2枚貝の生食による食中毒が有名ですが、保育園、幼稚園、小学校、老健施設などで発生した集団感染の大半は、誰かがまずノロウイルスに感染し、施設内でヒトからヒトへ感染して拡がっていくというものです。このヒトからヒトへの感染力はきわめて強力です。
細菌が原因の場合は、魚介類による腸炎ビブリオ、卵、卵製品、加熱処理の不十分な食肉によるサルモネラ、鶏肉、牛生レバー、殺菌不十分な井戸水によるカンピロバクター、手指の傷があるときの黄色ブドウ球菌などがあります。弁当や給食を原因とする食中毒の事例がありますが、多くの事例では原因食品の特定が困難な病原大腸菌、O157等があります。感染性胃腸炎の症状は、病原体により多少異なりますが、下痢、悪心、嘔吐、腹痛、発熱などです。特に下痢は必発です。病原体によっては血便が出ることもあります。病原大腸菌O157では重症化することがあり、血便が出たときは便培養が必要になる場合があります。
また、感染当初発熱が先行して、その後に嘔吐、下痢など腹部症状が出現することもあります。乳幼児や高齢者の場合には、脱水症状に陥るケースも多くあり、時に重症となります。治療は嘔吐、下痢、腹痛が強い時は、絶食で胃腸を休めます。脱水症状を引き起こさないための水分補給が大切ですが、オーエスワン、スポーツドリンクは吸収が良いのでお勧めです。整腸剤、吐き気止め、胃薬の処方をいたします。症状が強い時には、小量の水分さえ受け付けない状態になり、このような場合は、点滴などの処置を受ける必要があります。
ノロウイルス感染症の場合、おう吐物や下痢便には、ノロウイルスが大量に含まれています。そしてわずかな量のウイルスが体の中に入っただけで、容易に感染します。放っておくと感染が広がりますので、早く処理する必要があります。処理後は、塩素系の消毒剤(商品目:プーラックス、ミルトンなど)や、家庭用の漂白剤(商品名:ハイターなど、約200倍に薄めて使用)で消毒しましょう。アルコールは効果がありません。

腹痛

腹痛の原因には、急性胃炎、感染性胃腸炎、便秘など比較的軽症の頻度の多い病気のほかに、急性虫垂炎(盲腸)、尿管結石、急性胆嚢炎、総胆管結石、急性膵炎、イレウス(腸管麻痺)、胃十二指腸潰瘍、腹膜炎、消化器悪性腫瘍(胃癌、肝臓癌、胆嚢癌、膵臓癌、大腸癌、腎臓癌、卵巣癌)などの重症疾患まで様々あります。触診にて、重症疾患が疑われる場合は、血液検査、腹部レントゲン、腹部超音波検査などを実施し、さらなる精密検査が必要な時は病院へ紹介しています。緊急度の高い病気では、病院に連絡して救急受診を依頼しています。

発熱

発熱の原因は感染症(風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルスなどのウイルス感染、細菌感染)、膠原病、悪性疾患(癌、悪性リンパ種)など様々です。発熱の原因診断は、まずは発熱に伴う随伴症状からある程度の原因を絞り込みます。咳、のどの痛み、鼻水、痰、息切れ、胸の痛みなどは呼吸疾患、残尿感、頻尿、下腹部の排尿後の痛み、片側の腰背部痛は尿路疾患、腹痛、下痢、嘔気は消化器疾患などを考えます。感染症が認められず、原因不明の長引く発熱の場合は膠原病、悪性疾患も疑います。外来では問診、診察、検査と進めていきます。
現在、新型コロナウイルス感染症の流行のため、風邪症状の随伴する場合は、一般の慢性疾患の診察と一緒にならないように、空間的・時間的な分離での診療が必要です。

頭痛

急性の頭痛の原因には、風邪症状としての頭痛が多いですが、なかにはクモ膜下出血や、髄膜炎、帯状疱疹での三叉神経、側頭動脈炎など、見逃してはいけない病気もあります。
慢性の頭痛の原因には、片頭痛、緊張性頭痛があります。
片頭痛は血管拍動性頭痛で、名前の通り、片側の頭痛が多いですが、両側性の場合もあります。頭痛時に①動くと、ひどくなる、②嘔気を伴う、③普段は気にならない臭いがいやに感じる、④まぶしさを感じるなどが2項目以上あると、片頭痛の可能性が高くなります。片頭痛には鎮痛薬のほかに片頭痛に特化した特効薬があります。緊張性頭痛は頭の両側が締めつけられるような頭痛が特にきっかけもなく始まり、個人差はあるものの数十分~数日間、持続します。後頭部から首にかけて圧迫感があり、「孫悟空の頭の輪がしめつける感じ」とも表現されます。片頭痛のような拍動性や吐き気、嘔吐などの随伴症状はないのが一般的で、動いてもひどくはならないため日常生活に大きな支障はありません。首や肩、後頭部のこりを伴うことが特徴です。治療には鎮痛薬や筋肉の緊張を緩和する筋弛緩薬、漢方薬などで痛みを和らげ、必要に応じて不安やストレスを取り除くための抗うつ薬などを処方します。ただし、薬は対症療法であり、特に鎮痛剤や抗うつ薬の多用には副作用もあるため注意が必要です。デスクワークや運転などで不自然な姿勢を長時間続けると肩や首に負担のかかり緊張性頭痛の原因となるので注意しましょう。適度な運動やストレッチ、入浴などで血行を良くすることも有効です。

膀胱炎

膀胱の中で細菌が繁殖し、膀胱の粘膜に炎症を起こす病気が「膀胱炎」です。圧倒的に女性に多い病気です。女性の方は尿道が短く、細菌が膀胱まで簡単に到達してしまいます。おしっこを我慢したり、冷えたりして体調が悪かったりすると膀胱の中で細菌が繁殖して膀胱炎を起こします。膀胱炎の症状は、①排尿痛(排尿時に差し込むような痛みが生じ、排尿の終わりに特に痛みが強くなります。)、②頻尿、③尿の濁り④残尿感⑤血尿です。発熱、腰背部痛がある場合には、腎盂腎炎の可能性があります。
膀胱炎の疑いがある場合、検尿を行います。顕微鏡で白血球や赤血球、細菌を確認して膀胱炎と診断します。さらに尿培養で菌の種類を調べます。膀胱炎の治療には抗生剤を内服します。3~4日の服用で症状はよくなります。水分を多めに摂取して尿量を増やすように心がけてください。こまめに排尿することも大切です。薬の服用が終わったら、再び尿検査を受け、膀胱炎が完治していることを確認しましょう。

肺炎

風邪症状をこじらせ、咳、痰が長引くとき、発熱が続くとき、息切れがするときには、肺炎を疑い、胸部レントゲン検査をします。高齢者では、発熱がなくても食欲不振、元気がなくなれば肺炎を疑います。肺炎と診断されても、症状が軽く(酸素飽和度が95%以上、食欲あり、高熱が続いていない)、肺炎の範囲が狭い場合、外来での抗生剤の内服で治療可能です。症状が重く(酸素飽和度が95%未満、食欲なし、高熱が続く)、肺炎の範囲が広い場合、抗生剤の点滴や、酸素療法、入院での治療が必要となります。症状が初めは軽くても、高齢者や持病(呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病、悪性疾患など)のある方では、重症化する危険性がある場合には入院治療が必要です。肺炎の原因菌を特定するために喀痰培養検査は重要です。結核も念頭に入れて喀痰の結核検査も必要な場合があります。インフルエンザやマイコプラズマ感染症では治療薬があり、迅速検査が有効です。現在は、新型コロナウイルス感染症の流行のため、新型コロナウイルス感染の検査が必ず必要となります。新型コロナウイルス感染症の場合は軽症でも数日後に重症化する恐れがあり、入院が必要です。
症状の経過、胸レントゲン、血液検査(白血球数、血液像、CRP検査)で肺炎の改善を確認していきます。

生活習慣病

脂質異常症

脂質異常症とは血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が基準値より高い、またはHDLコレステロール(善玉コレステロール)が基準値より低い状態です。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は過剰になると血管にたまり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)は細胞内や血管内の余分な脂質を肝臓に戻す働きがある為、悪玉コレステロールを減らすことに役立っています。
脂質異常症があると、余分な脂質は、動脈の壁にくっついて血管を硬く狭くしていずれ動脈硬化を引き起こし、脳梗塞、脳出血、狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤、急性大動脈解離、閉塞性動脈硬化症、腎障害、大動脈弁狭窄症など様々な病気を引き起こします。
脂質異常症の主な原因は遺伝要素や体質、甲状腺機能低下症、食習慣や、運動不足、肥満などが考えられます。遺伝性の一つである家族性高コレステロール血症では、比較的若い年齢から狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血などを発症します。早期からの内服治療が必要になります。家族性高コレステロール血症ではアキレス腱肥厚や皮膚黄色腫が認められます。
甲状腺機能低下症ではLDLが高値となりますが、原疾患の治療により改善されます。女性では閉経後に女性ホルモン低下によりLDLが上昇してきます。脂質異常症の治療は、まず生活習慣の改善です。カロリーのとりすぎや、運動不足を解消しましょう。LDL高値の方は、脂っこい肉類、卵、魚卵、レバーなどはひかえめに、中性脂肪の高値の方は、甘いお菓子、アルコールなどを控えめにしましょう。動脈硬化の病気のリスクが高い方は、内服治療が必要となります。

糖尿病

血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなる病気です。食事をとると、お米パンなど炭水化物は消化され、腸から吸収され、ブドウ糖となり血管に入ります。人体は、たくさんの細胞から成り立っていますが、この細胞が働く為のエネルギー源がブドウ糖です。血液中のブドウ糖の濃度が高くなると、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンにより、血液中のブドウ糖は肝臓や筋肉、脂肪といった臓器の細胞内に移動します。血糖値はインスリンの働きにより一定の範囲に調節されています。しかし、このインスリンの量が不足したり、働きが悪くなったりすると、ブドウ糖が細胞内に取り込まれなくなり、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなってしまうのです。
血糖が高いと、のどが渇く、尿が多い、傷が治りにくい、感染症にかかりやすい、疲れやすいなどの症状が表れます。高血糖は血管に障害を起こすことで様々な合併症を引き起こします。大きな血管の障害は動脈硬化で狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血です。小さい血管の障害は、眼(糖尿病性網膜症)、腎臓(糖尿病性腎障害)、神経(糖尿病性神経症)におこります。失明(眼底出血)、透析(腎不全)、足のしびれ、足壊疽の原因となります。これら合併症をおこさないために血糖のコントロールが重要です。
糖尿病は2つのタイプに分けられます。糖尿病の多くは、遺伝的要因と生活習慣によって発病する2型糖尿病です。1型糖尿病は小児や若年者に多く、インスリン分泌不全でインスリン注射が必要となります。
当院では高血糖が健診などで指摘された場合、まずブドウ糖負荷試験で、インスリン分泌状態を調べ、診断いたします。糖尿病と診断されれば、できれば教育入院がすすめられます。糖尿病の合併症、栄養指導、運動指導などの教育を受け、治療法を決定し、今後きっちりと病気と長く付き合っていくスタートとなります。仕事などで教育入院が困難な方には、外来での治療を始めます。糖尿病の治療は、食事療法、運動療法、薬剤療法が3本柱となります。食事療法、運動療法は必ず行います。現在の食生活、運動習慣を聞いて、手軽に始められることをアドバイスします。内服治療は血糖がかなり高い場合、初めから開始することがあります。血液検査で血糖のコントロールを評価して、食事・運動指導、内服の調節をしていきます。
血糖のコントロールが困難な場合は入院でのインスリン導入などを検討いたします。

高尿酸血症、痛風

尿酸値7.0mg/dl以上を高尿酸血症といいます。高尿酸血症が続くと関節の中で結晶となり、結晶がなんらかのきっかけで剥がれ落ちると、関節炎をきたし痛風発作を発症します。痛風の好発部位は足の親指の付け根の関節で、赤く腫れて痛みます。痛風発作は、暴飲暴食、激しい運動、足をつまずいた後などに起こりやすいといわれています。また遺伝的、体質的な要因が痛風発症に大きく関与していると思われます。
痛風発作時の治療は、鎮痛剤や尿のアルカリ化薬の内服、安静、禁酒です。高尿酸血症は痛風発作以外にも、腎障害、尿管結石、動脈硬化などの原因となるため、治療が必要です。治療には生活習慣の改善と薬の内服があります。生活習慣の改善には①肥満の解消(食べ過ぎないよう、適度な運動)、②アルコールの適量制限、③高プリン体食品(レバー、魚の干物、カツオ、大正エビなど)はひかえめに、④水分を十分とる(1日2Lを目安に)があります。
薬の内服は、生活習慣改善を心がけても尿酸値が下がらない場合、痛風発作の既往のある場合に必要となります。

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは、骨密度が低下して骨がスカスカになり、骨折をおこしやすくなろ病気です。骨粗鬆症の原因には、加齢、生活習慣(運動不足、食生活)、閉経後の女性ホルモンの低下、ステロイド薬の使用などがあります。特に加齢による骨密度の低下は誰にでも起こりえます。
骨粗鬆症の治療には食事療法、運動療法、薬物療法があります。食事療法ではカルシウムを多く含む食品(牛乳、乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品)、ビタミンDを多く含む食品(サケ、ウナギ、サンマなどの魚、きのこ類)をとることが必要です。カルシウムは骨を構成する重要な成分の一つで、カルシウムを吸収するためにはビタミンDが必要です。さらに、骨にかかわる成分としては、ビタミンK(納豆、緑黄小野菜、果物)やタンパク質なども必要です。したがって、カルシウムだけではなくバランスのとれた栄養を摂取することが大切です。また、治療のために必要なカルシウムの量としては、一日当たり700~800㎎がすすめられていますが、摂取のしすぎには注意が必要です。
運動療法は骨折予防に重要です。運動することにより筋力が増強し、さらにバランス感覚が良くなり、転倒しにくくなることが期待されます。薬物療法では、従来から、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの骨の栄養素や、骨が壊されることを抑制する薬剤が多く使われています。さらに、最近は骨形成を促進する副甲状腺ホルモン薬も使用されるようになるなど、患者様の骨の状態によって最適な薬剤を選ぶことができるようになってきています。

消化器疾患

慢性胃炎

慢性胃炎とは長期にわたり胃炎が持続している状態のことです。症状としては、上腹部の不快感、膨満感、食欲不振、食後の胃もたれなどがありますが、無症状な場合もあります。胃カメラでは胃粘膜は菲薄化して血管が透けて見える萎縮性胃炎の所見を認めます。長い間、暴飲暴食やストレス、加齢に伴う変化として慢性胃炎が発症すると考えられてきました。しかし最近ではピロリ菌の長期感染で引き起こされることが分かっています。
実際にピロリ菌感染がなければご高齢の方でもきれいな胃粘膜をみることがあります。ピロリ菌は強酸性の胃液に耐えることができる細菌で、感染すると胃の粘膜に住みついて、有害な物質を作り出すことから胃炎を引き起こすと考えられています。慢性胃炎をベースに胃潰瘍、胃癌などを発症することがあります。慢性胃炎で使用される薬剤は、胃酸による攻撃をおさえる薬、胃の粘膜を守り保護する薬、消化管運動の機能を改善する薬です。
ピロリ菌感染症の場合、胃カメラで萎縮性胃炎が確認されれば、ピロリ菌除菌療法の保険適応となります。ピロリ菌除菌療法は1週間の抗生物質2種類とプロトンポンプ阻害剤(胃潰瘍、逆流性食道炎の治療薬)の内服です。ピロリ菌除菌を行うことで、胃潰瘍、胃癌を予防することができます。

逆流性食道炎

胃酸が胃の内容物と共に食道中に逆流する事を胃食道逆流症といい、逆流により食道の粘膜に炎症が生じたものを逆流性食道炎といいます。胃には胃酸(塩酸)という食べ物を消化・分解する強酸の液体と消化酵素が存在しています。胃や十二指腸には酸から粘膜を守る防御機能がありますが、本来胃酸に接する前提で作られていない食道にはその防御機能がありません。胃酸が逆流を繰り返す事で食道粘膜に炎症が起こります。
最も重要な症状は、胸焼け(溝落ちから口側にむかって焼けるような感じ、チクチクした感じ)です。そして、それは食後や前屈位で増強することが多いです。それ以外にも、胃痛、胃の不快感、嘔気、胸痛さらには咽頭痛や咳など消化管らしくない症状もあり、十分な問診が重要となります。治療にはプロトンポンプ阻害剤(胃酸を抑える薬)が有効です。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍

胃・十二指腸潰瘍とは、胃液という強い酸の刺激によって、胃・十二指腸の組織が剥がれ落ち、内部からえぐられた状態をいいます。以前は、攻撃因子(胃酸・ペプシン)と防御因子(粘液・血流・粘膜の抵抗力など)のバランスが崩れると潰瘍が起こると考えられていました。最近では、ヘリコバクターピロリ菌が深く関わっていることが明らかになり、消炎鎮痛剤と共に潰瘍発生の大きな原因と考えられています。自覚症状で最も多いのが、みぞおちの痛みです。胃潰瘍の場合は、食事中から食後に起こることが多く、十二指腸潰瘍の場合は、空腹時、特に早朝に痛むことが多いです。胸やけ、胃もたれ、吐き気、嘔吐、食欲不振を伴うこともありますが、自覚症状が全く無い人もいます。
潰瘍が進行した場合には、出血や穿孔を伴うことがあります。潰瘍の出血では、黒い便が出ることが多いです。くすりでは胃酸分泌を抑制する(胃内を中和させる)目的でPPI(プロトンポンプ阻害薬)やH2ブロッカーが有効です。みぞおちの痛みで、受診された場合には胃炎の場合も多いのですが、胃薬処方にて症状が改善しない場合は胃・十二指腸潰瘍がないか胃カメラをすすめています。胃カメラではヘリコバクターピロリ感染症の診断、胃癌など他の病気の除外に有効です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人がピロリ菌に感染している場合、除菌療法を行うことによって、潰瘍の再発が抑制されます。通常の潰瘍は、内服治療でほとんどの症例が良くなります(瘢痕化します)。
ただ、①出血性潰瘍 ②穿孔性潰瘍 ③難治性潰瘍 ④狭窄症例などは、入院や手術を必要とすることがあります。穿孔した場合は腹膜炎をきたし、激しい腹痛が続きます。触診で腹膜刺激症状がある場合は、腹膜炎と考え、救急病院に搬送が必要となります。

過敏性腸症候群

頻繁に下痢をする。便秘が続いている。下痢と便秘が数日おきに交替する。腹痛は排便で軽快する。
このような症状が1か月以上続く場合、過敏性腸症候群の可能性があります。朝、出かけるときに症状がでる、すぐにトイレに行けない状況(通勤電車など)で症状が悪化する、緊張で症状が悪化するなどストレスが大きく関与します。逆にストレス、緊張のない時(夕方、自宅へ帰るとき、眠っているときや休日など)には症状がない場合が多くなります。
治療の第一歩は、まず、自分の病気を知ることです。過敏性腸症候群は、ストレスなどにより腸管の働きが障害される病気で、生命に関わるような悪い病気ではないこと、また一生続く病気でもないことを理解することが大切です。薬物療法には腹痛、便通異常などの症状を改善する薬剤が用いられます。腹痛には抗コリン薬、下痢には下痢止め、便秘には便秘薬(便を柔らかくするくすり)が有効です。吸水性ポリマー製剤は下痢、便秘の両方に使えます。ストレスや不安の緩和には、抗不安薬、抗うつ薬などが有用です。
薬物療法で症状が改善せず、日常生活の支障が大きい場合には、心療内科、精神科などで心理療法を受けることがすすめられます。心理療法では、カウンセリング(悩みに対する助言や指導)、自律訓練などが行われます。

炎症性腸疾患

下痢が長引き、血便を伴う場合は、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患の場合があり、大腸内視鏡検査による診断が必要となります。それらの症状がある場合、当院では病院の消化器科専門医に紹介をさせていただいています。
クローン病は口腔から肛門まで消化管のどの部位にも炎症が起こる可能性があるのに対して、潰瘍性大腸炎は炎症の部位が大腸に限局しているのが特徴です。
クローン病は、主に小腸や大腸などの消化管に炎症が起きることによりびらんや潰瘍ができる原因不明の慢性の病気です。主な症状としては、腹痛、下痢、血便、発熱、肛門付近の痛みや腫れ、体重減があります。発症時期は10~20代が多く、男性で20~24歳、女性で15~19歳が最も多くなっています。2:1の割合で男性の方に多くみられます。治療には薬物療法、栄養療法、手術などがあります。栄養療法とは食事からの刺激を減らして腸の炎症を鎮めつつ、栄養状態を改善していくために、栄養剤を投与する治療方法です。経腸栄養療法と完全静脈栄養療法があります。手術は、内科的治療では十分な効果が得られず、社会生活が困難なときに必要となります。クローン病は、寛解(症状が落ち着いている状態)と再燃(症状が悪化している状態)を繰り返しながら慢性の経過をたどりますが、命に大きな影響を及ぼす疾患ではないと考えられています。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起きることによりびらんや潰瘍ができる原因不明の慢性の病気です。主な症状としては、下痢や血便、腹痛、発熱、貧血などがあります。また、さまざまな合併症が発現することがあります。発生年齢をみると、男性では20歳~24歳、女性で高くなっていますが、小児や高齢者に発症することもあります。男女比は1:1で差はありません。潰瘍性大腸炎は原因が不明であるため、大腸の炎症を抑えて症状を鎮め寛解に導くこと、そして炎症のない状態を維持することが治療の主な目標になります。治療には薬物療法と、手術療法、血球成分吸着除去療法があります。多くの場合は内科的治療で症状が改善しますが、内科的治療では十分な効果が得られない重症例や大出血、穿孔、中毒性巨大結腸症、癌化などの重大な合併症には手術が適応になります。潰瘍性大腸炎は基本的に病変が大腸に限局するので、大腸全摘出が基本となります。現在は自分の肛門で自然に排便することができるよう、肛門を温存する手術方法が主流になっています。
潰瘍性大腸炎は、寛解(症状が落ち着いている状態)と再燃(症状が悪化している状態)を繰り返しながら慢性の経過をたどります。発病後長期経過すると大腸癌を発症するリスクがあり、定期的な内視鏡検査によって早期発見することが重要になります。

慢性腎臓病

腎臓の働きには①老廃物の排泄、②血圧の調節、③赤血球の造血、③電解質バランスの調節などがあります。

①腎臓は血液を濾過して老廃物や塩分を尿として体の外へ追い出してくれます。また、体に必要なものは再吸収し、体内に留める働きをしています。腎臓の働きが悪くなると尿が出なくなり、老廃物などが体に蓄積し尿毒症になります。
②腎臓は、塩分と水分の排出量をコントロールすることによって血圧を調整しています。血圧が高いときは、塩分と水分の排出量を増加させることで血圧を下げ、血圧が低いときは、塩分と水分の排出量を減少させることで血圧を上げます。また、腎臓は血圧を維持するホルモンを分泌し、血圧が低いときに血圧を上げます。腎臓と血圧は密接に関係し、腎臓の働きの低下によって高血圧になることもあります。また、高血圧症は腎臓に負担をかけ、腎臓の働きを悪化させることもあります。
③血液の成分のひとつである赤血球は、腎臓から出るエリスロポエチンというホルモンの刺激を受けて骨髄でつくられます。腎臓の働きが悪くなると、このホルモン分泌が低下して、血液が十分につくられず貧血(腎性貧血)になることがあります。
④腎臓は体内の体液量や電解質バランスを調節して、体に必要なミネラルを体内に取り込む役割も担っています。腎臓が悪くなると体液量の調節がうまくいかないため、体のむくみにつながります。腎臓の働きが低下すると電解質のひとつであるカリウムの血液濃度が高くなり、体調の不良をきたします。
慢性腎臓病(CKD)とは、蛋白尿または血液検査での腎機能異常(eGFRの低下)が3か月以上持続する場合と定義されています。症状が出現することはほとんどなく、検尿と血液検査により診断されます。

蛋白尿
腎臓に障害があると血液中の蛋白質が尿に漏れ出します。尿中の蛋白量を測定することで、腎臓の状態を検査します。
eGFR(推算糸球体濾過)
これは、腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになります。eGFRは血清クレアチニン値と年齢と性別から計算できます。血清クレアチニンとは、血液中にある老廃物の一種です。本来であれば尿へ排出されますが、腎臓の働きが悪くなると、尿中に排出されずに血液中に溜まっていきます。そのため血清クレアチニン値が高いということは腎臓の濾過や排泄がうまくいっていないと判断できます。

慢性腎臓病は初期には自覚症状がほとんどありません。
それが、慢性腎臓病の怖いところで、患者を増加させている原因でもあります。そして腎臓は一度あるレベルまで悪くなると、自然治癒することはありません。放置すると進行して、末期腎不全となり透析療法や腎臓移植を行わなければいけなくなる可能性があります。また慢性腎臓病が進行すると、心血管系疾患(狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症、心不全、脳梗塞、脳出血、大動脈瘤など)の発症率、心血管系疾患による死亡率が増加します。慢性腎臓病における治療目標は、単に末期腎不全への進行をくい止める(透析導入を遅らせる)だけでなく、むしろ心血管系疾患の発症予防と治療こそが重要です。
慢性腎臓病の治療には食事療法、薬物療法があります。食事療法には①塩分制限、②タンパク質の制限、③適正なカロリーをとることが重要です。慢性腎臓病のステージがすすむと、よる厳格な食事療法が透析導入を遅らせるために必要となります。当院では病院での栄養指導も積極的にすすめています。薬物療法にはまず降圧剤による十分な血圧コントロールが重要です。また合併する糖尿病、高脂血症、高尿酸血症などの薬剤コントロールも重要となります。経口吸着薬は腸内で有害物質を吸着し、便とともに排泄して有害物質の体内への吸収をおさえます。結果的に、尿毒症が改善され、透析導入を遅らせることにつながります。腎性貧血が認められる場合には、エリスロポエチンの分泌不足を補うために赤血球造血刺激因子製剤による薬物治療が行われます。皮下注射薬と、最近、内服薬が使用できるようになりました。また、あわせて鉄剤の投与も行われます。
当院では慢性腎臓病の場合、病院の腎臓内科に紹介して、専門的アドバイスをとりいれた治療を行っています。

甲状腺疾患

甲状腺とは、からだ全体の新陳代謝を促進する甲状腺ホルモンを出す組織です。喉ぼとけにあり、蝶ネクタイのような形をしています。甲状腺ホルモンの量は、FT4という血液検査で測れます。このホルモンのバランスは、脳下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)で調整されています。
甲状腺ホルモン(FT4)とTSHはちょうどシーソーのような関係にあります。甲状腺ホルモンが多ければTSHは減り、逆に少なければTSHが増えます。甲状腺ホルモンの量が多いか少ないかは、甲状腺ホルモンよりもTSHに敏感に現れます。ごくまれに、脳下垂体の病気で両方のホルモンが減ることもあります。甲状腺機能障害には、甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症があります。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症の症状には、徐脈、便秘、体重増加、むくみ、寒がり、疲れやすい、元気がなくなる、皮膚の乾燥、脱毛、声のかすれなどがあります。
ホルモンが不足し、新陳代謝が衰え、血液検査ではコレステロールが高くなることが多いので、コレステロールの高い方は一度、甲状腺ホルモンの検査も受けておく必要があります。橋本病は、1912年に日本の橋本 策(はしもと はかる)先生が初めて報告されたもので、日本においては、橋本病が甲状腺機能低下症の一番の原因となっています。しかし、橋本病のすべてが、甲状腺機能低下症になるわけではありません。生涯、甲状腺機能に異常を認められない方や、一時的に甲状腺機能の低下がみられても回復される方も数多くみられます。橋本病は若い世代から中高年の女性に多いのが特徴で、成人女性の約3〜10%を占めると言われています。自己免疫異常により甲状腺に慢性炎症が生じます。甲状腺が大きくなります。甲状腺機能が正常の場合には、症状がみられませんが、甲状腺ホルモンが不足してくると、顔や手足のむくみ、寒がり、体重増加など、甲状腺機能低下症の特有の症状がみられます。血液検査で甲状腺ホルモン(FT4)が低値、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値、甲状腺自己抗体が陽性になります。甲状腺機能が正常の場合には治療の必要はありません。甲状腺機能低下があれば甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)の服用が必要となります。甲状腺機能低下は治る場合もあり、一生内服が必要とは限りません。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症の症状には甲状腺が腫れる、体重減少(たくさん食べれるのにやせる)、手のふるえ、動悸(脈が速くなる)、暑さに耐えられない(汗をかきやすくなる)、イライラするなどがあります。原因は抗甲状腺受容体抗体(甲状腺ホルモンではないのに、同じように受容体を刺激する蛋白質)ができて甲状腺ホルモンが多くなりすぎるものがほとんどで、「バセドウ病」と呼ばれます。免疫の働きがおかしくなり、体内の正常な組織まで排除する「自己免疫疾患」のひとつです。甲状腺機能亢進を放っておくと、頻脈が続き心房細動などの不整脈が起こりやすくなり、ひどくなると心不全になります。骨粗鬆症なども起こりやすくなります。
バセドウ病の症状には、甲状腺機能亢進症の症状に加え、眼球突出がありますが、それほど多くはありません。診断には、血液検査で甲状腺ホルモン(FT4)の高値と甲状腺刺激ホルモン(TSH)の低下、TSH受容体抗体 (TRAb)陽性(バセドウ病の99%で陽性)、甲状腺に対する抗体(抗Tg抗体、抗TPO抗体)を調べます。超音波検査で甲状腺の大きさ、甲状腺内の血流等で病気の状態を判断、甲状腺の内部に腫瘍がないかを検査します。バセドウ病の治療はまず、抗甲状腺薬(メルカゾール)を内服して、血液中の甲状腺ホルモンを低下させ、正常にもどします。この甲状腺ホルモンを下げることにより、自然に甲状腺機能亢進症状も軽快します。抗甲状腺薬を毎日決められた量内服していれば、徐々に甲状腺ホルモン産出量も下がってきます。甲状腺機能亢進症状は内服直後に良くなる事はありませんが2週間後くらいから少しずつ良くなりはじめ、普通は1〜2か月もすればかなり良くなります。
当院では症状から甲状腺の病気が疑われれば、血液検査をして、神戸の甲状腺専門病院である隈病院に紹介しております。

膠原病

 膠原病(こうげんびょう)とは、全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症が見られる病気の総称で、原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状が共通してみられます。女性に多く見られる病気で、比較的若い女性の不明熱(原因不明の発熱)として発見されることが多いです。関節リウマチ、全身性エリテマトーデ(SLE)、血管炎、強皮症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群などがあります。特に女性に多い病気です。一部の膠原病では遺伝的な要因も考えられるようになってきましたが、遺伝的な要素だけでは発病せず、膠原病の発病には色々な環境因子が重要です。風邪などのウイルス感染症が引き金となって発病することや、夏の海水浴や冬のスキーなど紫外線の影響を受けて発病することも多いようです。原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状が見られた場合、まずは膠原病に特徴的な徴候(レイノー現象、関節の腫れや変形、脱毛、口内炎、眼や口の中の渇き、握力の低下、手指のしびれ、爪の変形)があるかどうかの確認を行います。レイノー現象とは、冷たい水につけたときや冬の寒い朝に手足の先が白く変化し、しびれなどの症状が見られる循環障害の徴候です。
当院では、膠原病が疑われる場合、血液検査にて自己抗体の有無、炎症の有無をチェックして、病院の膠原病専門医に紹介しています。

貧血

貧血の原因で最も多いのは鉄欠乏性貧血です。血液検査で赤血球数減少、ヘモグロビン(赤血球の色素量)低下、ヘマトクリット(赤血球の体積量)低下を認め、小球性低色素性貧血を呈します。原因の多くは消化器出血、女性では月経の出血により、赤血球の成分である鉄の欠乏で起こります。女性では子宮筋腫がある場合、月経時の出血量が特に多くなります。消化管出血の有無は2回の便検査(便ヘモグロビン検査)で確認します。1回でも便ヘモグロビン陽性であれば、消化管出血として、胃カメラや大腸内視鏡検査で消化管の出血がないか検査します。胃潰瘍、胃癌、出血性胃炎、食道静脈瘤、大腸ポリープ、大腸癌、痔核、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)などの病気の有無を確認します。
治療は鉄分補給(食事、薬)、原因疾患の治療となります。
鉄分には、主にレバー(牛、豚、鶏)、魚(カツオ、イワシ、キハダマグロ、アナゴ)などの動物性食品などに含まれる「ヘム鉄」と植物性食品(ひじき、ホウレン草、小松菜、大豆)や卵・乳製品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄は体内への吸収率が高く、非ヘム鉄は吸収率が低いという違いがあります。非ヘム鉄は良質なタンパク質やビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取することで、体内への吸収率がアップします。

気管支喘息

気管支喘息は気道に炎症が続き、さまざまな刺激に気道が敏感になって発作的に気道が狭くなることを繰り返す病気です。日本では子供も大人も約10%が気管支喘息です。高年齢で発症することもあります。気道の炎症の原因はダニやハウスダスト、ペットのフケ、カビなどのアレルギーによることが多いですが、その原因物質が特定できないこともあります。症状は発作的に咳や痰が出て、ゼーゼー、ヒューヒューという音を伴って息苦しくなります。夜間や早朝に出やすいのが特徴です。
症状が無ければ喘息は治ったと思われるかもしれませんが、気道の炎症は続いています。炎症が続けばいずれまた発作が起こり、学校や会社を休むことになるなど、日常・社会生活に影響が出ます。そして炎症が続くと気道が固く狭くなり元に戻らなくなり、治療によって症状をおさえることが困難になります。したがって、日頃から炎症をおさえる薬を使って発作を予防しなければなりません。治療の第一選択は吸入ステロイド薬です。副作用は少なく安全です。喘息の重症度に応じてその量を調整します。もう一つは吸入気管支拡張薬です。現在、吸入ステロイド薬と長時間作用型の吸入気管支拡張薬がひとつになったものがあり、多く使用されています。内服では抗アレルギー薬、気管支拡張薬などがあります。喘息発作時には、即効性のある気管支拡張薬を吸入します。何度か繰り返しても改善しなければ速やかに病院を受診してください。タバコは喘息を悪化させるため、患者本人だけでなく周囲の人も禁煙協力が必要です。気管支喘息は高血圧や糖尿病のように慢性の病気であり、継続的な治療が必要です。発作が起きないように適切な薬を適切に使用することで、健常者と同様の生活を送ることができます。症状が落ち着いてからもきちんと診療を続け、自己判断で治療を中断しないようにしましょう。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に呼吸が10秒以上停止する状態のことを睡眠時無呼吸といいます。ほとんどの場合、いびきを伴います。1時間あたり5回以上無呼吸や低呼吸が発生し、そのために熟眠できず、日中など起きている時間に異常な眠気を催す状態のことを睡眠時無呼吸症候群といいます。脳、神経、心臓の病気が原因で起こるタイプを中枢型、舌根が沈下して気道が閉塞してしまうことで起こるタイプを閉塞型、両者が混合して起こるタイプを混合型と呼んでいます。閉塞型が最も多く、肥満と強い関連があります。ただしこのタイプは、肥満がなくても起こる場合があります。
自覚症状として多いのが日中の眠気です。また、家族からいびきの指摘がみられます。睡眠中に頻回に目が覚めたり、朝起きた時に頭痛やだるさを感じたり、夜間に呼吸が苦しくなる夢を何度もみるなどの症状もみられます。通常では、仰向けになって入眠しても鼻や口から入ってきた空気は滞りなくのどを通過して気管・肺に入っていきます。しかし、肥満などが原因で、入眠するとのどが狭くなり、空気が通りにくくなることがあります。この時、狭いのどを空気が通過しようとして抵抗が生じ、「いびき」が発生します。さらにこの部位が完全に閉塞してしまうと、無呼吸となります。閉塞型では、この際に、呼吸をしようとする動き「呼吸努力」が胸部、腹部に見られるのが特徴です。扁桃腺が大きいために同様の現象が起きることもあります。
中枢型と呼ばれるタイプでは、脳、神経、心臓の疾患のために筋肉の動きも含めて呼吸そのものが停止することが原因で起こり、呼吸努力はみられません。混合型では、閉塞型と中枢型の両方の原因が認められます。睡眠時無呼吸症候群の影響は 1)日常生活、2)合併疾患、の2つの問題があります。

日常生活影響
日中の眠気のため、思うように日常生活が送れなくなり、何かに集中することができなくなります。また仕事中の居眠り、大事な会議で眠ってしまうなど、業務にも支障をきたすことがあります。特に危険なのは自動車の運転などの場合です。睡眠時無呼吸症候群の患者様では、運転中に高率に眠くなり、交通事故を起こす危険性が著しく高くなります。これまでにも運転中の事故、あるいは鉄道のオーバーランなどで睡眠時無呼吸症候群の関与が判明した事例があり、この病気は安全性の確保に大きな支障をきたします。
合併疾患
睡眠時無呼吸症候群の患者様では、心筋梗塞や脳卒中を発症する確率が、そうでない患者様に比べて高いことがわかってきています。それだけでなく、糖尿病を悪化させたり、高血圧や不整脈の原因になったりすることもわかってきています。こうした心臓や血管、代謝の病気の発症や悪化に広く関与している可能性が高くなっており、この病気を治療しないでいると突然死を起こしやすくなるとさえ言われています。そのため、正確な診断と、積極的な治療が必要です。

当院では睡眠時無呼吸症候群の診断に、睡眠中の簡易検査を実施します。夕方に外来予約で検査機器(鼻や口の気流測定、指先に酸素飽和度センサー、胸に心電図、腹部の動きなどを見るセンサーを測定する機器)を装着していただき一晩休んでいただきます。睡眠中10時間の、無呼吸低呼吸の回数、いびき、酸素飽和度、心拍数を記録します。
睡眠時無呼吸症候群の治療には①肥満の解消②CPAP(シーパップ)③マウスピース④横向きに寝る⑤扁桃腺摘出手術などがあります。

1.肥満の解消
肥満は気道を狭める原因となります。肥満傾向が出始めたころにいびきもかくようになったという方は多く、逆に減量にていびきも減る可能性が高いと思われます。
2.CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法(鼻マスク式持続陽圧呼療法)
鼻にマスクをあて、小型の装置から一定圧力をかけた空気を気道に送り、のどがふさがらないようにする治療です。寝るときにマスクをあてバンドで固定するため、鼻マスクをつけて眠れるだろうかと不安を感じられるかもしれませんが、この病気の治療では最も有効な治療方法で、慣れれば熟眠が得られるようになり、日中の眠気の軽減にも効果があり、死亡率の低下のデータもあります。まずは、1か月お試しで使っていただき、継続できそうであれば保険診療で治療を開始します。
3.マウスピース治療
睡眠中にのどがふさがらないようにするため、就寝前にマウスピースをはめる方法です。マウスピースの作成は歯科口腔外科にて患者様のお口に合うように依頼します。
4.横向きで寝る
いびきや無呼吸は、仰向きの姿勢で睡眠し、気道がふさがれることで起こります。そこで、睡眠中の姿勢を横向きに保つようにすると、症状が消えて、軽くなることがあります。ただし、閉塞の程度の強い患者様では効果がないこともありますし、そもそも横向きでは寝られないという患者様も少なくないため、実効性がないという意見もあります。
5.手術療法
狭くなるのどの粘膜を切り取ってしまう方法です。扁桃腺が大きい場合は、扁桃腺の摘出を行うことで劇的に症状が改善する場合があります。

予防接種

各種予防接種を行っております。乳幼児から大人まで接種できますのでお電話にてお問い合わせください。

接種可能ワクチン

(税込み)
高齢者インフルエンザ(三田市、三木市) 1500 円
インフルエンザ 1回目:4950 円 2回目:3300 円
肺炎球菌(ニューモバックス) 8600 円
小児用肺炎球菌(プレベナー) 12100 円
麻疹 6800 円
風疹 6800 円
子宮頸がんワクチン 18000 円
MRワクチン(麻疹・風疹} 10700 円
日本脳炎ワクチン 7300 円
DPTワクチン(三種混合) 5100 円
DTワクチン(二種混合) 4900 円
ヒブワクチン 8400 円
おたふくかぜ 6800 円
水痘 8800 円

予防接種を受けられない方、注意が必要な方

  • 発熱(37.5℃以上)ある方
  • 重篤な急性疾患を引き起こしている方
  • ワクチンに含まれる成分(卵や抗生物質、安定剤など)のアレルギーがある方
  • 風疹、麻疹の予防接種を受ける予定で妊娠している方
  • 心臓病、腎臓病、肝臓病、血液の病気などで治療を受けている方
  • 未熟児で生まれ、発育状態の悪い方
  • 予防接種後2日以内に発熱や発疹、蕁麻疹などアレルギー症状がみられた方
  • 今までにけいれんを起こしたことがある方
  • 過去に免疫不全の診断がなされている方、また近親者に先天性免疫不全の方がいる方